森に抱かれて

「…そうだな」

「私、一回帰って、要に報告して、なんかしんちゃんの着替え持って来るね」

「ああ、悪いな」

「謙太郎はずっとそうしてなさいよ。しんちゃんが目、覚ました時に、顔を見て貰えるようにね」

「なんだそれ?」

「眠りの森の美女方式よ」

「は?」

「目覚めた時に最初に見た人を好きになっちゃう、みたいな?」

ニタニタと笑いながら、美咲は病室を出て行く。

「…何馬鹿な事言ってんだか」

< 408 / 494 >

この作品をシェア

pagetop