森に抱かれて
声がした方を振り返る。
ブルージーンズに長袖Tシャツの爽やか『風』な男が近寄って来る。
「ひょっとして君、お客さん?」
「はぁ…。あの、ここレストランですか?」
あ、近くで見ると結構歳いってるな。私より絶対上だ。スタイルいいけど、40手前って感じ。
「ああ、一応ね。開店休業状態だけど」
男はフワッと笑ってみせる。
「だから、せっかく来てもらっても、お出し出来る物はないんですよ」
「そうなんですか…」