森に抱かれて
「今更、いいよ。先、食べな」
「え?」
立ち止まって振り返る。
「もうどんなにキレイに化けたって、俺の脳裏にはその顔が焼き付いちゃったから」
「…はぁ」
思わずため息が出る。
なんか楽しそうに笑ってるし。もういいや。
「じゃ、お言葉に甘えて頂きます」
戻って佐藤の座っているテーブルの上にあるトーストの袋に手をかける。
「どうぞ」
トーストをトースターで焼き、その間にマグカップにインスタントコーヒーを作る。