ロスト・クロニクル~後編~
これにより、新人隊員もシェラの状態を知ることになった。エイルが現状を受け入れるのに時間が掛かることについては予定外だったが、これに関してはアルフレッドとシンに任せた。
また、彼はメルダースで学園長のクリスティの無理難題をこなしてきた人物。これくらいでへこたれる精神面も持ち主ではなく、どのような状況であれ立ち直るであろうと期待する。
シードは脚を止め、夜空に浮かぶ月を見上げる。しかしその月は薄い雲で覆われ、本来の明るさはなく全体的に滲みを帯びていた。この月は、現在のクローディアの状況を表しているかのようだ。だが、全てが覆われているわけではなく微かであっても月は輝いている。
この国の繁栄を――
彼を含め国の将来を考えている者が背負うのは大きいが、協力してくれる味方も多い。強い意思を胸に秘めると、シードは再び脚を進める。そして向かうのは、己が信頼を置く者達のもと。
どうか、いつか。
そう、心の中で女神に祈りを捧げた。