少ない荷物だったため、あっという間に片付けが終わると、仁志は部屋に倒れこんだ。
…………しかし………うるさいアパートだ。左右の部屋からも上の部屋からも物音と話し声が響き渡ってくる。
(なんだよ…)と思いつつも、とりあえず他の住人に挨拶をしにいく事にした。
手土産を用意するのを忘れた事に気付いたが、まぁいいや。

とりあえず右隣の部屋のドアをノックした。待っていたかのような早さで扉が開くと
「新入り??あのさぁ~お金貸してくれない??」
…突然の男の質問に、とりあえず黙って扉を閉めてその場を離れた。すると後ろからその男の怒鳴り声が響いている。
「うるせぇ~!!このブサイクがぁ~!!」更に輪をかけたデカイ声に仁志は驚き振り向くと、先ほどの管理人と今の男がバトルを始めた。
その後分かったが、この男の名前は山口和雄。日払いの仕事をしているそうだ。

このアパートには管理人の部屋を入れても6室のみ。1階に住んでいるのは管理人・山口・仁志だった。
残りは二階の3部屋…どうか、まともな人がいますように…
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