早歩きで一人遠ざかっていくババァを四人は無言で追いかけた。
やっと追いつき山口が「ババァ!」と呼びかけるが返事をしない。
我慢できずに山口がババァを振り向かせると…ババァは泣いていた。
ポロポロと静かに泪を流し、声もあげずに泣いている…

「…ババァ…」
山口は掴んでいた肩を離すと仁志を見た。
仁志はババァの側に近づくと、
「ゴメンネ、ありがとう。俺達をかばってくれて…」
するとババァは、我慢の糸が切れたかのように大声をあげて泣いた。
誰も何も言わない。
ただただ黙ってババァを見ていた。
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