どれくらいの時間が経ったのかは分からない。ババァはようやく落ち着きを取り戻すと、四人に話し始めた。
「昔からあの家には居場所が無かったの。家族の会話は一切無くて、愛されてるなんて思った事が無かった。…でも家族だもん。まともな考えを持って欲しかった。私が出ていく事で気づいて欲しかった。…でもダメだったね…結局は何も変わらなかった…。これで本当に家族の縁が切れちゃったよ。自分で選んだ事なのに、バカだよね…」
再び泪を流すババァを見て、四人もそれぞれ自分の家族の事を思い出していた。
でも仁志は途中から、ババァの弱さを自分が受け止めてあげたいと思いだす。
肩を震わせているババァをそっと目の前から抱き寄せると、
「帰ろう。俺達の家に。自分達はここで必死に生きているって。今は誰にも分からなくても、いつかは分かって貰えるように必死に生きよう。」

ババァは顔をあげると笑顔で頷いた。
そして五人は歩き出す。
アパートの自分の部屋の扉を笑顔で開き、再び自分の居場所に戻って行った。

………………………。「お前らぁっっっ!!勝手に部屋に入っただろぅっ!!!!」
怒鳴り声が響き渡る…
「…あぁ~何も変わらない生活だ…」

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