あの丘の上で【上】
それは一瞬だった。
よく見知った部屋、私の秘密の部屋。
1度だけ、響お兄ちゃんを呼んだ、高瀬の家の私の秘密の部屋。
その部屋で、彼は手紙を私にわかるように手放した。
そして次の瞬間、暗部の本部に戻っていた。
顔には何も出さず、あの忌々しい装置に頭を覗かれないようにしながら、さっきのことについて考えた。
報告が終わって、私の部屋に戻り、すぐにさっきの場所まで移動した。
そこには、手紙が落ちていた。