あの丘の上で【上】


「…琴ちゃん、私は忘れたくない。忘れてはいけないの、自分の罪を。」


泣きながら、泣きはらした目を隠そうともせず。


強い強い彼女は、それでも自分自身を楽な方へ許さなかった。


「あなたの能力で、私の罪を、守って下さい。」


そう言って、彼女は深く頭を下げた。


「任せなさい!」


本当は嫌だった。


自分が雪ちゃんの罪を持って、いつか彼女に突き出さないといけないことが。


でも、それをできるのは大親友の私しかいないでしょう?

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