あの丘の上で【上】
「お願いします。」
その後は一言も話すことなく、黙々と作業を進めた。
雪ちゃんがドッペルゲンガーを作り、その子に全てを託して。
その子は笑顔でそれを受け入れ、自らトランクの中に入り、目を閉じた。
そして、私の能力で彼女の時間を止めた。
2人で一緒にトランクのファスナーを閉めた。
「後は、結界を張って、小さくするだけ。その後は私に任せて下さい。」
それにコクリと頷き、結界を張った雪ちゃん。
フラフラしながらも、最後にトランクを小さくし、私に手渡した。