あの丘の上で【上】
「私を、よろしくお願いします。
そろそろ、眠ります。
たぶん目が覚めたら、記憶を消されてるから。
最後にね、…大好き、琴ちゃん。」
私の手を握りながら、雪ちゃんは眠った。
ベッドへ運んで、私は立ち去った。
その足で沙羅お姉ちゃんのところへ行き、事の次第を話した。
直ぐに、逃げた。
周りの人間にも、何らかの記憶処理があるかもしれないから。
アレンパパと一緒に悪魔界へ逃げた。
何年も何年も待ち続けた。
雪ちゃんの心が整うのを。