あの丘の上で【上】
Side雪菜
「これが、私の知る全て。」
そう言って、私に笑顔を向けた、琴ちゃん。
そして、首からネックレスを外し、机に置いた。
「これが、そのトランク。」
確かに、これは私にしか解けない結界。
「1つだけ、昔も今も雪菜を見てきた僕に言わせて欲しい。」
真剣な顔で響お兄ちゃんが言った。
「今の雪菜は心が弱い。
これを開けることで、相当な……とにかく、生半可な気持ちでは太刀打ち出来ない物だと思う。」