戻りたい。戻れない。

『何が欲しい?』


彼にそう問いかけられても、素直にあれが欲しい、などという答えを返せるはずもない。


「本当に悪いから。あたし、そんなに貰えないよ」


近くの可愛い雑貨屋さんに入ろうとする彼の手を遠慮がちに引っ張る。


『いいからいいから。プレゼントなんだから黙って受け取れよ』


「で、でも…」


『なに?俺からのプレゼントはいらないわけ?』


その言葉に少し驚いた私は彼の顔を仰ぎ見た。


ほんの些細な変化だか、私は見逃さなかった。


彼の目が、少しだけ冷たい。


どうやら、彼の地雷を踏んでしまったらしい。


『そんなことないよ!ただ、プレゼントとかもらい慣れてないから、ちょっと恥ずかしいっていうか…』


必死にそれっぽく聞こえる言い訳をしてみるけれど、彼に通じるかはわからない。


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