戻りたい。戻れない。
彼と私は、酷く対照的で類似する点はこれでもかという程になかった。
そう、趣味も、服の好みも、音楽も、壊滅的な程に。
「あのバンドの曲いいよねー!」
「は?ありえねー」
こんな具合に、私達は噛み合わないことがほとんど。
何故そんな私と彼が付き合っているのかというと、
連絡先を交換して2日、互いに何の好意も抱かぬまま、遊びで付き合ったからだった。
そうでなければこんなにも共通点のない相手と付き合うことはないだろう。
どうせ、1、2ヶ月で別れるものだと私自身も思っていた。
なのに、彼は私の心を見透かし、思いの他優しく接してくれたのだ。
そんな彼に、私は次第に惹かれて行き、
一ヶ月記念日を迎える頃には、私は彼のことを好きになっていた。