戻りたい。戻れない。
私の誕生日が近付き、11月に入ったある日。
私と彼はデートをしていた。
彼が、私の誕生日プレゼントにペアリングを買ってくれると言ってくれたのだ。
ペアリングとなればそこそこ値が張るだろうから、無論最初は遠慮をしたが、
ペアリングという誘惑に負けて、結局は買ってもらうことになった。
大好きな彼とのペアリング。
嬉しくないはずなんてない。
嬉しくて嬉しくて、今日が待ち遠しくて仕方なかった。
「すいません。ペアリングってどこですか?」
お洒落で可愛いアクセサリーが並ぶお店の店員さんに彼が話かける。
「はい。ペアリングでしたらこちらになります」
店員さんに教えてもらったショーケースの中には、シルバーのペアリングが数種類並んでいた。
どれも可愛くて、ついつい目移りしてしまう。
「とりあえず、指のサイズ測って貰ったら?」
「う、うんっ」
店員さんに指のサイズを測ってもらう。
どうやら私は9号らしい。
店員さんに指が細いですね、と言われ少し驚いた。