戻りたい。戻れない。


時は流れて、新年を迎えた1月2日。


私と彼はお正月からデート中。


「寒いねー」


彼と手を繋ぎながら街中を歩く。


私より体温の高い彼の温もりが繋いだ手から伝わり、心も温まる。

『そーだなー。早く夏になんねーかな』


「夏の前に春でしょ!桜が見れなくなっちゃうじゃん!」


くだらない会話の一つ一つが楽しくて、一緒に居られることが凄く、凄く嬉しい。


「ねぇ、大好きだよ」


『俺もだよ』


微笑んで少し背の高い彼の顔を見つめると、とても自然な動作の優しいキスが降り注いだ。


街中だろうと関係ない。


えへへ、と笑う私に、


『ニヤけるなよ、馬鹿』


意地悪に語りかける彼。


まるでドラマみたいだなあ、と一人で思いながら私はまた彼を見つめる。




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