ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
上司の悲しすぎる過去
玄関を出て門に向かって歩いていると、その前をスーッと紺色の車が横切った。確か新藤さんのお宅で見た車も紺色だったと思う。という事は……
小走りに門を出ると、前に見た時は薄く埃を被っていたのに、今日はピカピカに光る紺色のセダンが停まっていた。そして運転席側のドアが開くと、中からスタイルの良い男性が颯爽と降りて来た。もちろん、新藤さんだ。
「やあ、おはよう」
「おはようございます」
今日の新藤さんの出で立ちは、黒のスリムのジーンズに、濃紺のチェック柄のシャツ。車も紺だし、そう言えばスーツも紺が多いから、きっと新藤さんは紺色がお好きなんだと思う。
カジュアルな服装の新藤さんは初めて見たけど、いつものスーツ姿の彼とは印象がだいぶ違って見える。髪はいつものようにはきっちりしてなくて、そのせいか実年齢より5歳ぐらい若く見える。もちろん、そんな新藤さんもとっても素敵だけども。
「悪いね。せっかくの休みに」
「いいえ、とんでもないです。新藤さんこそ、遠いのにすみません」
「いや、どうせ車だからね。ちょうどいいドライブになったよ。もう行けるかな?」
「はい」
「えっと、どうしようか? どっちでもいいんだけど、後ろに乗ってくれるとまみが喜ぶかなあ」
つまり、私が前の助手席、つまり新藤さんの横に座るか、後ろのまみちゃんの横に座るか、という事だと思う。
屈んで車の中を見たら、助手席側の後部座席にチャイルドシートが取り付けられ、それにまみちゃんがお座りをしてこっちに顔を向けていた。
私は、ニコッと笑ってまみちゃんに小さく手を振り、
「後ろに乗ります」
と言った。“前に乗れば、新藤さんが喜びますか?”と、言ってみたい気持ちはあったけれども。
小走りに門を出ると、前に見た時は薄く埃を被っていたのに、今日はピカピカに光る紺色のセダンが停まっていた。そして運転席側のドアが開くと、中からスタイルの良い男性が颯爽と降りて来た。もちろん、新藤さんだ。
「やあ、おはよう」
「おはようございます」
今日の新藤さんの出で立ちは、黒のスリムのジーンズに、濃紺のチェック柄のシャツ。車も紺だし、そう言えばスーツも紺が多いから、きっと新藤さんは紺色がお好きなんだと思う。
カジュアルな服装の新藤さんは初めて見たけど、いつものスーツ姿の彼とは印象がだいぶ違って見える。髪はいつものようにはきっちりしてなくて、そのせいか実年齢より5歳ぐらい若く見える。もちろん、そんな新藤さんもとっても素敵だけども。
「悪いね。せっかくの休みに」
「いいえ、とんでもないです。新藤さんこそ、遠いのにすみません」
「いや、どうせ車だからね。ちょうどいいドライブになったよ。もう行けるかな?」
「はい」
「えっと、どうしようか? どっちでもいいんだけど、後ろに乗ってくれるとまみが喜ぶかなあ」
つまり、私が前の助手席、つまり新藤さんの横に座るか、後ろのまみちゃんの横に座るか、という事だと思う。
屈んで車の中を見たら、助手席側の後部座席にチャイルドシートが取り付けられ、それにまみちゃんがお座りをしてこっちに顔を向けていた。
私は、ニコッと笑ってまみちゃんに小さく手を振り、
「後ろに乗ります」
と言った。“前に乗れば、新藤さんが喜びますか?”と、言ってみたい気持ちはあったけれども。