ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
母が焼いたマドレーヌは、自分で上手に焼けたと言っていただけの事はあり、結構美味しかった。

新藤さんやまみちゃんも美味しいと言って食べてくれ、気付くとまみちゃんがコックリ、コックリしている。お腹が膨れたからか、あるいは疲れたのか、とにかく眠くなっちゃったみたい。すかさず私が膝の上に抱きかかえると、本格的に寝てしまった。

まみちゃんは、寝顔もとっても可愛い。


「朝早くから起きてたからね……」


まみちゃんを見ながら、新藤さんは苦笑いを浮かべた。


「そうなんですか?」

「ああ。いつもよりも早く起きて、僕を起こしに来たんだ。なぜだと思う?」

「さあ……」

「君に会いたいって。それを言うためさ」

「えっ? 本当ですか?」

「ああ、本当さ。昨夜からずっと思ってたんだろうな」

「そうなんですか。嬉しいわ……」


そこまでまみちゃんが私に懐いてくれてるとは思ってなかったので、驚くと共に本当に嬉しかった。


まみちゃんを抱っこしながら、改めて周りを見ると、数組の親子連れがいた。年齢構成も私達と同じように見え、という事は、私達も傍目には親子に見えてるんだろうなと思う。でも、もちろん嫌じゃないし、むしろ違和感がないのは私だけかしら……


「帰ろうか? まみが風邪引くといけないし」


そうか。まみちゃんは遊んで汗をかいたから、このままだと体が冷えて風邪を引いちゃうんだわ。新藤さん、さすがだわ……


私は「はい」と言って、まみちゃんを抱いたまま立とうとしたのだけど……

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