ママと呼ばれたい ～素敵上司の悲しすぎる過去～

二人は、どうして新藤さんが日電を辞めて内に来たのかと課長に聞いていたけど、もちろん課長も知らないわけで……


「おばちゃん、冷酒ちょうだい？」


そんなやり取りを尻目に、私は早々ビールから日本酒に切り替えた。


「それにしても、“ミスター日電”があの挨拶はないわ……。しかも早速定時で帰るって……」


と佐藤さんが言えばみんなも頷き、ようやく４人の論点が一致した。


「何か狙いがあるのかしら」


と言ったのは渡辺さん。狙いか……。あるかもしれない。でも、何が狙い？


「あ、わかった！」


佐藤さんが突如大きな声を出した。そして、「そうかあ、なるほどね」なんて、得意げに呟いている。


「何が狙いなんですか？」


当然ながらそう問えば、


「経費節減さ」


と、佐藤さんはしたり顔で言った。

はあ？ って感じだけども。