ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
新藤さんのお宅にお邪魔をし、二人で映画のDVDを観ようという事になった。ちなみにまみちゃんはまだぐっすりお眠り中。


「いつもまみに付き合ってマンガばかり見させられててね、映画を観るのは随分久し振りだよ」


ラックには、かなりの数のDVDがずらりと並んでいた。サスペンスやSFのものが多いけど、恋愛物や韓流ドラマなんかもあって、ジャンルの幅が結構広い。


「どれを観るか選んでくれるかな?」

「新藤さんが観たいものでいいです」

「僕は何でもいいから、君に選んでほしい」

「そうですか? じゃあ……」


新藤さんに言われ、私はある事を考えて映画選びを始めた。そして選んだのは、誰もが知っているであろう古典的な名画で、ジャンルは恋愛。それを指差し、


「これを観たいです」


と言うと、


「おお。これは懐かしいなあ」


と言いながら、新藤さんはそのDVDをラックから取り出した。


私が考えたある事とは、新藤さんと二人で恋愛物を観て、それなりのムードになるといいな、という姑息な考えだった。ところが、


「新藤さんも恋愛系がお好きなんですか?」


と言ってしまったのは、我ながら考えなしだった。


「ん……嫌いではないけどね、由梨が好きだったんだ」


しまった……。地雷を踏んでしまった。

少し考えれば分かりそうなものなのに、私ってほんと……バカ。

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