ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「あの……私がした事なのに、どうして新藤さんが……?」

「ん? それは……何と言うか、僕がはっきりしないから、と言うかね……」


新藤さんは、彼にしては珍しく歯切れが悪く、口ごもった。


「それはどういう意味なんですか?」

「え? ん……深い意味はないんだ。気にしないでほしい」

「そんなあ……」


気にするなと言われても、それは無理というものだわ。新藤さんが言った“はっきりしない”というのは何の事だろう。普通に考えれば、意見や態度、あるいは気持ち?


あ。気持ちかしら?
つまり、私に対する気持ちがはっきりしてないって事じゃないかしら。


「新藤さん」

「ん?」

「私の気持ちは、はっきりしてます」

「…………」

「そうでなければ、あんな事はしませんから」

「…………」


新藤さんは黙ってしまったけど、私は今こそ伝えようと思う。私の気持ちを……


「私は……新藤さんが好きです。まみちゃんも好きだから、出来れば私は……まみちゃんのママになりたいです」

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