ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
上司とホテルで……
「そうなの?」

「ああ。つい数日前にも彼を見かけたよ。会社でね」

「そうなんだあ。ちっとも知らなかったわ」

「そうか。それならいいんだ。今の話は忘れてくれていいよ。だとしたらだ、他の男が出来たのか?」

「もう、変な言い方しないでよ……」

「言い方もへったくれもあるか。どうなんだ、莉那?」

「それは……」


私は、身を乗り出すようにして追求してくる父の視線を逸らし、母をチラッと見やった。助け舟を出してほしくて。


「時期が来たら言うから、今はそっとしてあげて? 今、難しい局面なのよ。ね?」

「う、うん……」

「何だよ。やっぱり俺はのけ者か?」

「拗ねないの」

「チッ」


母のおかげで新藤さんの事は話さずに済んで良かったのだけど、私はちょっとばかり気になった。竹宮さんの事が。

どうして帰国したのに私に連絡して来なかったんだろう。もう私になんか興味ないのだろうか。その方が、私的には助かるけれども。

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