ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
次の日曜日、私は母からビーフシチューの作り方を教えてもらい、更に本屋さんへ行って育児書を買って来た。3歳児の事を勉強するために。もちろん、まみちゃんの事を詳しく知りたいと思ったからだ。


その本によると、3歳の頃はその子の人格を形成する上で、とても大事な時期らしい。そして自我に目覚める頃で、色々と難しい時期でもあるとか。

例えば、やたらと駄々をこねたり、癇癪を起こしたり、乱暴だったり、質問攻めをしたり、要求が多かったり、などなど。


でも……まみちゃんにはちっとも当てはまらないと思った。そして、前に新藤さんがぽつりと言った、「まみはいい子過ぎる」の言葉を思い起こした。

一人一人の個人差はもちろんあると思う。でも、あまりにまみちゃんは違い過ぎると思う。その本から得た、3歳児の印象とは。


「お母さん」


私は一階へ下り、洗濯物を畳んでいる母に声を掛けた。私も洗濯物を畳もうと手を伸ばしたけど、どうやるのかさっぱり分からない。私って全然家事が出来ないんだなと、改めて実感して情けなくなった。


「こういう事も覚えないとね?」

「うん……。ねえ、私が3つの頃の事、憶えてる?」

「急にどうしたの? もちろん憶えてるわよ?」

「私って、どんな子だったの? いい子だった?」

「そうね……いい子とは言い難かったわね」

「そうなの? どういうところが?」

「おませで、わがままで、意地っ張りで、甘えん坊さんだったわ」

「そうなんだあ……」

「何よ、暗い顔して……。そんなの気にする事ないのよ? 子どもはみんなそんなものなんだから……」

「みんな?」

「そうよ? それが子どもというものだもの」


やっぱりかあ。という事は、まみちゃんが変なんだわ。異常と言ったら言い過ぎだろうけども……

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