ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
週が明けて早週末。

新藤さんとの関係について、特に進展はない。何度か会話をしたけど、土曜日の事を話題にする事はお互いになかった。

特に変わった出来事もない。強いて言えば、思わぬ人から私の携帯に連絡があった事と、新藤さんが定時ちょうどではなく、少しゆっくり目に帰るようになった事ぐらいかな。

麻生さんに、保育時間の延長をお願いしたのかしら……


思わぬ人とは、土曜日に家で名前が出た元彼の竹宮さんだった。お昼休みにショートメールで、“電話していいですか?”と聞いてきて、私がオーケーしたらすぐに電話が来た。


『久しぶりだね?』

「はい」

『僕ね、実は日本に戻ってるんだ』

「あ……はい」

『あれ? 驚かないんだね?』

「それは、その……父から聞いてましたから」

『そうか。でも君は、僕に連絡しようとは思わなかったんだね?』

「それは……ついこの間知ったばかりですから……」

『時間ならいくらでもあったよね?』

「それは……ごめんなさい」

『(やっぱり嘘だったか……)』

「えっ?」

『いや、何でもない。じゃあ、元気でね?』

「あ、はい。竹宮さんも……」


というようなやり取りだったと思う。途中、竹宮さんは妙な事を呟き、一瞬それが気にはなったけど、通話を終えた時には、すっかり忘れてしまっていた。

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