ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「まあ、そうかもだけど、もし俺の予想通りだったらどうする? 課長、今の内に新藤さんに聞いてくれませんか? 決まってからじゃ遅いと思いますから」


なるほど。佐藤さんが言う事はもっともだと思う。何事も早め早めじゃないとね。ところが、


「まだ来たばかりなのにかい? それはちょっとねえ。そういう話が出てからでいいんじゃないかなあ」


課長は乗り気じゃなかった。課長って、仕事は出来るけど大人し過ぎるのが玉に瑕なのよね。上司に意見したりって、きっと苦手なんだと思う。


「話が出てからじゃ遅いですよ」

「わたしもそう思います」

「しかしだね……」


そのやり取りを見て、これはある意味チャンスだと私は思った。そこで、


「あの、よかったら私から聞いてみますよ。新藤さんに、そういう考えなのかどうかを、さりげなく。もしそうだと言われたら、みんなで抗議したらいいと思います」


と、真面目な顔で言ってみた。内心は笑ってしまいそうだけど、それをグッと堪えながら。

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