ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
『言っとくけど、僕はあの女の言葉を鵜呑みにしたわけじゃないからね? ただ、多少でも事実の可能性があるかなと思って、念のために君に連絡したんだ。やっぱりデタラメだったけどね』


そうだった。確か竹宮さんは“やっぱり嘘だったか”みたいな事を呟いていたっけ。


『変な話だし、気分が悪かったけど、それで終わりならまだ良かったんだ』

「え? という事は、終わってないんですか?」

『そうなんだ。その後も会社に何度も電話が来て、シツコくて困ってる。つまり、君とよりを戻せとね。君にその気がないんだと言っても、聞いてくれないんだ。女心は変わりやすいとか、押せば何とかなるとか、訳の分からない事を言ってね。

終いには、頼むから電話しないでくれって僕は言ったんだ。仕事に影響するからね。そうしたら、その女はこう言ったんだ。

今夜、僕が君と会ったら、もう電話はしないからって……』

「お会いして、どうするんですか?」

『いや、それしか言わなかった。正確に言えば、あるレストランで君と食事をしろと言われたよ。それだけでいいんだそうだ』


なにそれ……?

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