ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
『どうかな? 女の言う事は信用出来ないが、もし仮に本当なら、僕は助かるんだよね。もちろん食事代は僕が持つからさ?』

「そうですね……。分かりました。行きます。どこのレストランか教えてください」

『そうか。ありがとう。えっと、レストランはね……』


全く気味の悪い話だけど、私の事で竹宮さんが困っているなら協力しないわけには行かないと思う。お会いして、食事をするだけでいいそうだし。


それにしてもいったい誰なんだろう。私の知り合いで、私と竹宮さんがお付き合いしていた事を知る人って、実はあまりいない。ましてや女性となると、母と親友の恭子ぐらいだ。

母がそんな事をするわけないから、残るは恭子だけど、まさかね……

と思いながらも、私はすぐ恭子に連絡をしてみた。


「恭子は竹宮さんの事、憶えてる?」

「竹宮さん? ……ああ、あんたの元彼よね?」

「そう」

「もちろん憶えてるわよ? 確かアメリカに転勤しちゃったのよね?」

「そうなんだけど、最近日本に戻ったらしいの」

「へえー、そうなんだ……」


この反応って事は、やっぱり恭子じゃないわね。


「その竹宮さんがどうかしたの?」

「え? ん……ちょっとね」

「ひょっとしてあんた、竹宮さんとよりを戻そうってんじゃ……」

「ち、違うわよ」


私は全力で否定したのだけど……

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