ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「違うの? それもアリだと思うけどなあ」

「恭子……?」

「部長さんを諦めて、竹宮さんとやり直すって、そういう選択肢もあるんじゃない? 竹宮さんって、かなり素敵な人だったんでしょ?」


恭子は真面目な顔でそう言った。どうやら本気で言ってるらしい。あ。という事は、もしかして……


「恭子、もしかして竹宮さんを焚き付けたの?」


という可能性が出て来た、かなと一瞬思ったりしたのだけど、


「は? それはどういう意味?」


恭子は不思議そうな顔をしたので、それはないと思う。


「ううん、何でもない。竹宮さんは確かにいい人なんだけどね、そんな気にはなれないわ」

「そうか。そんなに部長さんが好きなんだ?」

「うん」

「そうか。だったらさ、どうして竹宮さんの話をしたの?」

「それは、ちょっと……」

「何よ、水臭いわねえ。言いなさいよ?」

「うん。実はね……」


という事で、私は竹宮さんから聞いた話を恭子にした。“鈴木”と名乗る、ストーカーまがいの女の事を。

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