ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「あらま。大胆発言ね。でも、いいと思う。いつかそうなれば、まみちゃんにとってとても良いと思うわ。がんばってね?」


麻生さんは笑顔でそう言ってくれて、それはそれでとても有り難いのだけど、ちょっと違うんだなあ。


「ありがとうございます。でも、“いつか”ではないんです」

「え?」

「すぐに……と言うか、今からです。たった今、私はまみちゃんのママになりました」

「あらま……」


私のいきなりな宣言に、麻生さんは口をポカンと開いて絶句した。ま、当然かもしれないけども。


私の決心は、あるいは非常識かもしれない。ううん、きっとそう。でも、そんなの関係ない。だって、まみちゃんの一大事なのだから。もたもたしてたら、取り返しのつかない事になっちゃうんだから……



「明日から年末年始の休みなんです。本年はお世話になりまして、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします」

「こちらこそ。良いお年をね?」

「はい。麻生さんも……」


私は、すっかり元気をなくしたまみちゃんを抱っこし、麻生さんのお宅を後にした。


さてと、これからどうしよう。と言うか、どうなるんだろう。これって、“押しかけ女房”ならぬ、“押しかけママ”だわね。

そんな場合ではないのかもしれないけど、つい頬が緩むのを私は抑えられなかった。

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