ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「あ、そうだ。まみちゃん、帰ったらお風呂入ろうか?」

「おぷろ?」

「そう。何度も約束破ってごめんね? 今日こそ入ろ?」

「うん! でも……」

「大丈夫。もう約束破ったりしないから。何があっても……」


そう。今まではこれからという時に美沙さんが来てやめちゃって、その度にまみちゃんには可哀想な事をしたけど、もうそんな事はしない。美沙さんなんか、関係ない。

あ。着替えがないわ。まあ、いいか。


家に帰るとすぐに私はお風呂のお湯を張り、まみちゃんと一緒に入った。


「温かくて気持ちいいね?」

「うん!」


新藤家のお風呂は浴室が広く、浴槽も大きめで、まみちゃんと一緒に入っても全然余裕でゆったり出来た。これなら、たぶん新藤さんと入っても……なんちゃって。


「まみちゃん。私、これからはちょくちょく来るからね? と言うか、毎日来ると思う」

「ほんとに?」

「うん、本当に。それとね、まみちゃんがいい子じゃなくても来るからね?」

「…………」


まみちゃんは私の言った意味が解らないのか、口を開けてポカンとしていた。


「私ね、どんなまみちゃんも好きだから。わがまま言っても、いたずらしても。だからまみちゃんは、無理していい子にしなくていいの。がまんしないで?」

「りなちゃん……?」

“ママって呼んで?”


と心の中で言いながら、私はまみちゃんの小さな体を、包み込むようにしてギューっと抱きしめた。

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