ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「今ね、パパは私を産んでくれたママに報告してたんだよ?」

「そのようね? じゃあ、この事も由梨さんに報告してくれたのかしら……」


莉那はそう言い、膨らみ始めた自分のお腹を指差した。

そう。莉那のお腹には赤ちゃんがいる。出産という大仕事に、まだ完全には癒えていない背中が絶えられるのか、俺はとても心配だ。もっとも、いざとなれば帝王切開があるからと、本人はいたって呑気にしているのだが……


「これから報告するところさ」

「そうなの? じゃあ、お願い」

「うん」


俺は再び、由梨が眠る墓前に向かった。


由梨、聞こえてたと思うが、莉那に赤ちゃんが出来たんだ。つまり、真美の弟か妹。まだどっちかは分からないけどね。

でも心配しないでほしい。俺は、と言うか俺達は……


「ねえ、何してるの?」

「え? 今、報告してるところだけど?」

「無言で?」

「ああ。お前がいると恥ずかしくてさ……」

「もう……どいて頂戴。私が報告します」

「ちょ、ちょっと……」


俺は莉那に、シッシッて感じで横にどかされてしまった。

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