ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「あの事? 真美が小学校に上がる件と、俺の仕事の件は報告済みだけど?」

「やっぱりしてないんだ。美沙さんの事よ……」

「……ああ」

「ああ、じゃないでしょ? ちゃんと報告しないと……。私からする?」

「頼む」

「了解。由梨さん、美沙さんが保釈される事になりました」


そう。殺人未遂の罪で服役している美沙さんが、間もなく保釈される事になったらしい。

あれ以来、いやその前からだが、俺は山田家とは殆ど交流がないが、そんな情報がどこからともなく流れて来た。美沙さんの、由梨のでもあるが、両親はとても反省しているらしい、とも……


「由梨さん。私は美沙さんの事、ちっとも恨んでないんです。死ななかったから、という事もありますけど。

美沙さんは、とても可哀想な人だと思うんです。何て言うのかしら……。愛情の掛け違い?

幸いお父様もお母様もお考えを改めたそうなので、これからは仲良くしてくれるといいなと思います。由梨さんも、美沙さんの事を許してあげてほしいんですけど、どうですか?」


莉那はもう一度手を合わせた。果たして由梨が美沙さんを許すかどうかは、正直なところ誰にも解らないだろな、と俺は思った。

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