ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「それを言ってくれないと答えられないな」
私がどうしようか迷っていたら、新藤さんはそんな事を言った。だったら、言うしかないよね?
「わかりました。言います。つまり、新藤さんは私達を早く帰して、その分時間外手当をカットするおつもりなのかと……。と言っても、私個人はそんな事は思ってないんですけどね」
「時間外のカット、ですか?」
新藤さんは不思議そうな顔でそう言った。という事は、やっぱりそういう事は考えてなかったらしい。もう、佐藤さんったら……
「やっぱり違いますよね? ああ、よかった……」
と、私はホッとしたのだけど……
「まったく考えてなかったよ。でも、人件費の削減にはなるね?」
「えっ?」
「悪くない考えかもしれない」
「ちょ、ちょっと、新藤さん……」
と私が慌てた時、ウェイトレスさんが料理を運んで来た。
「新藤さん、今の事は忘れてください」
ウェイトレスさんが行くと、すぐに私はそう言ったのだけど、
「おお、美味そうだね。いただこうか?」
「新藤さん……?」
新藤さんはニヤッと笑い、ゆっくりとステーキを切り始めた。その笑顔はとても素敵なのだけど、やきもきする私をからかっているのは明らかで、ちょっと悔しい。ああ、やっぱり言わなければよかった。まるっきりの“やぶ蛇”だったわ……
私がどうしようか迷っていたら、新藤さんはそんな事を言った。だったら、言うしかないよね?
「わかりました。言います。つまり、新藤さんは私達を早く帰して、その分時間外手当をカットするおつもりなのかと……。と言っても、私個人はそんな事は思ってないんですけどね」
「時間外のカット、ですか?」
新藤さんは不思議そうな顔でそう言った。という事は、やっぱりそういう事は考えてなかったらしい。もう、佐藤さんったら……
「やっぱり違いますよね? ああ、よかった……」
と、私はホッとしたのだけど……
「まったく考えてなかったよ。でも、人件費の削減にはなるね?」
「えっ?」
「悪くない考えかもしれない」
「ちょ、ちょっと、新藤さん……」
と私が慌てた時、ウェイトレスさんが料理を運んで来た。
「新藤さん、今の事は忘れてください」
ウェイトレスさんが行くと、すぐに私はそう言ったのだけど、
「おお、美味そうだね。いただこうか?」
「新藤さん……?」
新藤さんはニヤッと笑い、ゆっくりとステーキを切り始めた。その笑顔はとても素敵なのだけど、やきもきする私をからかっているのは明らかで、ちょっと悔しい。ああ、やっぱり言わなければよかった。まるっきりの“やぶ蛇”だったわ……