ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「私は今年で28なんですけど、新藤さんはおいくつですか?」

「へえー、28かあ。もう少し下かと思ったよ」

「ありがとうございます。で、新藤さんは……?」

「僕かい? えーっと、いくつだったかなあ。ん……38かな」

よし! 10歳差はもちろん許容範囲だわ。

「もう、新藤さんったら、ご自分の歳なのに……」

「あはは。あまり気にした事がないんでね」


初めて新藤さんの笑い声を聞いたけど、話し声と同じでとっても素敵だった。優しそうな笑顔も素敵だし、思わず私は彼に見惚れてしまった。


「平凡かもしれないが、優しい男がいいと思うよ?」


新藤さんは真顔になってそう言ったけど、


「そうでしょうか?」


私はちょっと不服だった。もちろん優しい男性は嫌いじゃない。でも、優しいだけの人ってどうなのかなと思う。言ってみれば、逞しくて優しい男性が私の理想だ。


「それが一番だと思うけどね」


そう言って微笑んだ新藤さんこそ、優しい人だと私は思った。つまり、新藤さんこそ私の理想の男性ではないかと……

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