ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
ミスター日電がうちの部長に?
話は2週間ほど遡る。
その日、私は朝からそわそわし、興奮気味だった。だって、ついにあの伝説の広告マン、“ミスター日電”に会えるのだから……
ほんの数日前、突如人事発令が回って来た。見れば、わが広告部の部長が交代するとの事。それ自体はさほど珍しい事ではないのだけど、新しい部長さんの名前を見て私は“あれ?”と思った。
その人の名は“新藤龍一郎”。どこかで聞いた事のある名前だ。そして同じ日付で“入社”となっている。
あっ。もしかして、もしかする?
「か、課長?」
私は隣の席の小林営業課長に声を掛けた。課長は40代後半の男性社員で、人の出入りが激しい広告部にあっては珍しく、入社以来の部員で大ベテラン。仕事の事なら大抵の事に答えてくれる人だ。
「ん?」
「課長も今回の人事発令を見ましたか?」
「ああ、見たよ。もちろん」
私が言った途端、課長は“よくぞ聞いてくれたね?”と言わんばかりに目を輝かせた。
やっぱり、そうなのかも……
「この新藤さんって、もしかして日電の……?」
「ほお、よく気付いたね? そうだよ、伝説の広告マン、“ミスター日電”さ」
「きゃーっ、うそ、信じられなーい!」
私は思わず喚声を上げてしまった。
その日、私は朝からそわそわし、興奮気味だった。だって、ついにあの伝説の広告マン、“ミスター日電”に会えるのだから……
ほんの数日前、突如人事発令が回って来た。見れば、わが広告部の部長が交代するとの事。それ自体はさほど珍しい事ではないのだけど、新しい部長さんの名前を見て私は“あれ?”と思った。
その人の名は“新藤龍一郎”。どこかで聞いた事のある名前だ。そして同じ日付で“入社”となっている。
あっ。もしかして、もしかする?
「か、課長?」
私は隣の席の小林営業課長に声を掛けた。課長は40代後半の男性社員で、人の出入りが激しい広告部にあっては珍しく、入社以来の部員で大ベテラン。仕事の事なら大抵の事に答えてくれる人だ。
「ん?」
「課長も今回の人事発令を見ましたか?」
「ああ、見たよ。もちろん」
私が言った途端、課長は“よくぞ聞いてくれたね?”と言わんばかりに目を輝かせた。
やっぱり、そうなのかも……
「この新藤さんって、もしかして日電の……?」
「ほお、よく気付いたね? そうだよ、伝説の広告マン、“ミスター日電”さ」
「きゃーっ、うそ、信じられなーい!」
私は思わず喚声を上げてしまった。