ママと呼ばれたい ～素敵上司の悲しすぎる過去～

壁の時計を見たら、まだ早い時刻だった。ゆっくり支度しても、会社には十分間に合うと思われる時刻。ここがどこで、会社までどのくらい時間が掛かるかは分からないけども。


私は二日酔いで最低な気分の体に鞭を打ち、起き出して自分の服を着た。私の服は、きちんとハンガーに掛けられていた。たぶん新藤さんがそうしてくれたのだと思う。


鏡を見て、ボサボサの髪を手で直し、よろよろしながら寝室と思われるその部屋を出ると、そこは２階で、下に向かう螺旋階段があるのでそれをゆっくりと降りて行った。


寝室もそうだったけど、その家は広くて明るくて綺麗だった。おそらく建ってから何年も経っていないと思う。


階下に降りると、コーヒーや何かを焼いたような匂いがし、それを辿って行くとダイニングらしき部屋に辿り着き、新藤さんがいた。