ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「こら、まみ。変な事を言うんじゃない」


へえー、この子、“まみちゃん”っていうんだあ。


「あの、新藤さんの娘さんですか?」

「あ、うん。まみっていうんだ」

「そうなんですか……。まみちゃん、お年はいくつ?」

「んーとね……」


まみちゃんは両手で何やら一生懸命してたと思ったら、小さな手で指を3本立て、


「みっちゅ」


と言った。つまり3歳って事ね。可愛い!


「ついこの間、3つになったばかりでね。まみ。このお姉さんは莉那さんっていうんだよ」

「り……な?」

「そうよ」

「りなちゃん?」

「う、うん。よろしくね?」


“りなちゃん”って歳でもないんだけど……ま、いいか。


それにしても、新藤さんはちゃんと私の名前を覚えてくれてたんだ……って当たり前かな。でも、ちょっと嬉しいかも。


「朝食は食べられそうかい?」


新藤さんに聞かれ、改めてテーブルの上を見ると、お皿に乗ったホウレン草のソテーと目玉焼きからは湯気が出ていて、後はコーヒーにトーストにヨーグルト。まみちゃんの前にはグラノーラにミルクが掛けられたお椀が置いてある。


これはみんな新藤さんが用意したんだろうなあ。特に手が込んでるってわけではないけど、新藤さんがお料理をしたと思うと、ちょっと意外……

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