ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
ああ、やっぱりそうなのね……


奥さんがいない事の理由としては、別居や離婚も当然有り得るのだけど、私は亡くなってしまったのではないかと思っていた。確たる根拠はなかったけど、新藤さんが時々見せる哀しそうな表情が、私にそういう想像をさせていたのだと思う。


「奥様のお写真を近くで見させていただいていいですか?」

「うん、いいよ」


私は奥さんの遺影の前まで行き、目を瞑って両手を合わせ、改めて写真のお顔を見せていただいた。

綺麗な女性だった。そして、間違いなくまみちゃんのママだと思った。なぜなら、面影がまみちゃんそっくりだから。


遠目で見た印象通り、写真の奥さんは私と同い年ぐらいに見える。つまり二十代の後半という感じ。

こちらに向かって幸せそうに微笑んでいるのは、たぶんカメラを構えているのが新藤さんだからだろう。彼への深い愛情と信頼がそのお顔に表れている、と私は思った。


「お綺麗な方ですね?」

「うん、まあね。この写真は僕らが結婚する直前に撮ったものなんだ。最近の写真はあまりなくてね……」

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