ママと呼ばれたい ～素敵上司の悲しすぎる過去～

私は焦りながら奥さんの洋服を見ていったけど、やはり奥さんと私では洋服の好みが異なるようだ。迷う時間もないので、ブラウスだけお借りする事にし、私は七分袖の白のカットソーで、胸元にフリルが付いたゆったりした感じのブラウスを手に取った。


「これをお借りしていいですか？」

「もちろんいいけど、それだけでいいのかい？」

「はい。みんなの目を欺くにはこれで十分だと思います」

「そうか。じゃあ下で待ってるから」

「はい」


新藤さんが出て行くと、私は大急ぎでブラウスを着替えた。新藤さんが言ってた通り、サイズはピッタリだった。

脱いだ自分の水色のブラウスをどうしようかと考えたが、軽くたたんでテーブルの上に置く事にした。無理をすればバッグに押し込む事も可能だと思うけど、ある考えでそうしたのだ。


階下へ降りると、すっかり出掛ける支度の出来た新藤さんとまみちゃんが玄関で私を待っていてくれた。