ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「昨夜のかい?」


新藤さんは、私とは逆に腰を少し屈み気味にし、やはり小声でそう囁いた。


「はい」

「家に帰って寝た、ってだけじゃダメかな?」


もう、そんなのダメに決まってるじゃない!


「ダメです。もっと詳しく教えてください」

「わかったよ」


そう言って、新藤さんは私の耳元に口を寄せた。そして、


「君を抱き上げて寝室のベットに運んで寝かせた」


と、低い声で囁いた。

その時、新藤さんの息が私の耳に掛かり、同時に彼の低い声が脳に直接届いたような感覚を覚え、思わず私の体にゾクゾクっと快感のようなものが走った。


「じゃあ、私の服を脱がしてくれたのは……?」


呼吸を整え、更にそう聞けば、


「それは、まあ、着たままってわけには行かないと思ったからね」

「し、新藤さんが?」

「そうだけど?」


あちゃー。服は自分で脱いだんじゃないかと思ってたけど、新藤さんに脱がされたんだあ。という事は、私の下着姿をしっかりこの人に見られたのね?


私はその光景を頭に描くと、あまりな恥ずかしさに顔がカーッと熱くなってしまった。

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