ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「独身の君には大した事ではないかもしれないが、私や佐藤君にとっては深刻な問題なんだよね……」


ああ。二人とも住宅ローンを抱えてるらしいもんね。


「そんな事ありません。私にとっても深刻ですよ」

「そうかい? まあ、そうだよね。で、まだ分からないかな? 部長のお考えは……」

「えっとですね……」


課長達を待たせるのはもう限界だわね。もうそれを探るため、なんて“大義名分”なんかなくても新藤さんに近付けるしね。どうせ噂になってるらしいし。


「確証がなくてご報告しなかったんですが、部長にそういうお考えはないと思います」

「本当か? それは確かかね?」

「ですから、100パーセントの確証はないんですが、まず間違いないかと……」

「そうかあ。よかった……」


課長は心底ホッとした、といったご様子だった。


「でも、部長は本心でみんなにあまり残業をしてほしくないそうですよ?」

「ほお……。時間外のカットが目的でないなら、何が目的なんだい?」

< 59 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop