ママと呼ばれたい ～素敵上司の悲しすぎる過去～

「う、うん。それでその奥さんがね……」

「はい」

「自殺したって言うんだよ」

「…………えっ？」


私は、すぐには課長の言葉を理解出来なかった。だって、いきなり“自殺”なんて言葉を聞くなんて、思ってもみなかったから。


「ど、どうしてですか？ どうして自殺なんか……」

「うん、それが問題でね……」


課長はそう言って、辛そうに顔を曇らせた。


「育児ノイローゼか、アルコール依存症か、うつ病か……。それははっきりしないらしいが、いずれにしても旦那がいなくて寂しかったからだろうって言われてる」

「え？ それってどういう事ですか？ 新藤さんはいなかったんですか？」

「殆ど家にいなかった、って意味さ。おそらく残業や出張続きで、家にいる時間はほんのわずかだったんだと思うよ」


ああ、そういう事か……


「激務が普通のこの業界の中でも、その最たる所だからね、日電は……」