ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
私が新藤さんの家にお泊まりした事を彼に悟られたのでは、と思ったのだけど、
「二次会での事、恭子さんに言わないでほしいんです」
そうではないらしく、私はホッと胸を撫で下ろした。
「二次会の事って?」
「主任が僕に、その……」
「ああ、アレね……」
制作チームの主任さんが川田君に迫り、泣き出した一件の事だと思う。
「恭子に言わないのは構わないけど、そんなに気にする事でもないでしょ? お酒の席の事だもの」
「それはそうですけど……」
「それとも、その後何かあったの?」
「え? な、ないですよ。何も……」
私も余計な質問をしちゃったと思うけど、川田君は否定しながらも目を泳がせていた。これはひょっとすると、ひょっとするのかもしれない。
でも、それを詮索する気はないし、事実がどうであれ、私は知らない方がいいと思う。恭子も。
「そうよね? ごめんね、変な事聞いちゃって。とにかく恭子には言わないから安心して?」
「ありがとうございます」
それで話は終わりらしく、川田君は立ち上がりかけたのだけど、
「あ、ちょっと待って?」
今度は私が彼を引き止めた。川田君にある事を聞いてみようと不意に思ったから。生きる意欲を失っていた恭子を、見事に立ち直らせた実績のある彼に……
「二次会での事、恭子さんに言わないでほしいんです」
そうではないらしく、私はホッと胸を撫で下ろした。
「二次会の事って?」
「主任が僕に、その……」
「ああ、アレね……」
制作チームの主任さんが川田君に迫り、泣き出した一件の事だと思う。
「恭子に言わないのは構わないけど、そんなに気にする事でもないでしょ? お酒の席の事だもの」
「それはそうですけど……」
「それとも、その後何かあったの?」
「え? な、ないですよ。何も……」
私も余計な質問をしちゃったと思うけど、川田君は否定しながらも目を泳がせていた。これはひょっとすると、ひょっとするのかもしれない。
でも、それを詮索する気はないし、事実がどうであれ、私は知らない方がいいと思う。恭子も。
「そうよね? ごめんね、変な事聞いちゃって。とにかく恭子には言わないから安心して?」
「ありがとうございます」
それで話は終わりらしく、川田君は立ち上がりかけたのだけど、
「あ、ちょっと待って?」
今度は私が彼を引き止めた。川田君にある事を聞いてみようと不意に思ったから。生きる意欲を失っていた恭子を、見事に立ち直らせた実績のある彼に……