ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「はい?」

「川田君に聞きたい事があるの」

「な、何でしょうか?」


やだ、川田君ったら慌てちゃって……。昨夜の事を聞かれると思ってるのね。もちろん、私が彼から聞きたいのはその事ではない。


「どうやったのか教えてほしいのよ」

「は? 何の事ですか?」

「あなた、恭子に生きる希望を与えたでしょ? どうやったの?」

「どう、って言われても……。そもそも、僕の影響かどうか……」

「あなたの影響に決まってるでしょ? ねえ、参考にしたいから教えて?」


そう。新藤さんをどうやったら元気に出来るか。その方法を川田君から聞き出したいと私は思った。恭子を見違えるほど明るい子に変えた、実績のある彼から。


「そう言われても、僕は何も特別な事はしてませんよ。ただ、彼女を愛しただけです」

「その“愛した”って、心の事? それとも体?」

「りょ、両方です」

「やっぱりそうか……」


川田君ったら、顔を赤くしちゃって……。可愛いんだから……


やっぱり愛よね。愛に優るものはないんだわ。
本当は川田君に聞く前から答えは解っていたのだと思う。彼に聞いたのは、答え合わせと、第三者から言ってほしかったのだと思う。

よし。私も新藤さんを愛しちゃおっと。今もそうだけど、もっともっと。うるさがられるくらいに……

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