ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「それはね……」


恭子は口をもぐもぐし、ゴクっと飲み込むと、


「ずいぶん誠実な人だな、って事よ?」


と、さらりと言った。


「誠実? 新藤さんが?」

「そう。だって、そうでしょ? 隣に下着姿の若い女が寝てるのに何もしないなんて、誠実以外の何物でもないと思うわよ?」


ああ、そういう事かあ。それについては私は違う事を考えたのよね……


「そうかなあ。単に私に興味ないだけじゃないかしら?」


という事を私は考えていた。私にとってはとても残念な事だけども。


「そんなはずないでしょ? あんたみたいないい女に興味を引かれない男なんて滅多にいないわよ。健康な状態なら、だけど」

「そんな事ないって……。私、そんなにモテないし」

「モテるモテないの話じゃなくて、私はオトコという生き物の性(さが)を言ってるのよ?」

「サガ?」

「そう。男ってさ、いつも女とヤりたがる生き物でしょ?」


真面目なイメージの恭子の口から、突如すごい言葉が飛び出し、私はギョッとしてしまった。


「恭子ったら、それはちょっと言い過ぎじゃない?」

「ううん、そういうものなの」

「そうなの?」

「もしかして、莉那ってあまり恋愛経験ないんじゃ……」

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