ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「で、何か作戦はあるわけ?」
食後のコーヒーを一口すすると、恭子が唐突にそう聞いてきた。
「作戦って、新藤さんの件?」
「もちろんよ。例えばクリスマスに何か仕掛けるとか?」
クリスマスかあ。そう言えば、あと一ヶ月足らずでクリスマス、そしてお正月だわね。でも……
「ううん、それまで待ってられないわ」
というのが私の偽らざる気持ち。
「と言うと?」
「実はこのブラウス、新藤さんの亡くなった奥様のをお借りしたのよ?」
と言って、私は今着ている白のブラウスの襟元を指で摘まんで見せた。
「へえー、そうなんだあ。それで?」
「私のブラウスは、奥様の部屋に忘れてきたの。わざと」
「ふーん、どうして?」
「わからないかなあ。それを取りに行くのを口実に、また新藤さんの家にお邪魔する、という作戦よ。彼は持って来ようかって言ったけど、それはお断わりしたの」
「なるほどね。やるわね……」
「明日の帰りに行くって言ってあるんだ」
「明日? 今日じゃなくて?」
「そう。だって、明日は金曜でしょ? 準備して行きたいし」
「準備って?」
「決まってるでしょ? お泊まりのよ」
と私が言ったら、恭子は「あらま」と言って驚いた顔をした。
「あんた、本気なのね?」
「もちろん本気よ?」
食後のコーヒーを一口すすると、恭子が唐突にそう聞いてきた。
「作戦って、新藤さんの件?」
「もちろんよ。例えばクリスマスに何か仕掛けるとか?」
クリスマスかあ。そう言えば、あと一ヶ月足らずでクリスマス、そしてお正月だわね。でも……
「ううん、それまで待ってられないわ」
というのが私の偽らざる気持ち。
「と言うと?」
「実はこのブラウス、新藤さんの亡くなった奥様のをお借りしたのよ?」
と言って、私は今着ている白のブラウスの襟元を指で摘まんで見せた。
「へえー、そうなんだあ。それで?」
「私のブラウスは、奥様の部屋に忘れてきたの。わざと」
「ふーん、どうして?」
「わからないかなあ。それを取りに行くのを口実に、また新藤さんの家にお邪魔する、という作戦よ。彼は持って来ようかって言ったけど、それはお断わりしたの」
「なるほどね。やるわね……」
「明日の帰りに行くって言ってあるんだ」
「明日? 今日じゃなくて?」
「そう。だって、明日は金曜でしょ? 準備して行きたいし」
「準備って?」
「決まってるでしょ? お泊まりのよ」
と私が言ったら、恭子は「あらま」と言って驚いた顔をした。
「あんた、本気なのね?」
「もちろん本気よ?」