ママと呼ばれたい ～素敵上司の悲しすぎる過去～

「そんな事ないでしょ？ 今までだって、お母さんには何でも隠さず話して来たわよ？」


と思う。私だって、回数は少ないけれど恋愛の経験はあるわけで、その都度母には隠さず話して来たつもりだから。


「確かにそうだけど、今までのは恋バナとは言えないでしょ？ あなたったら、淡々と話すんだもの。まるでお仕事の報告みたいだったわよ？
今みたいに、あなたが恥ずかしそうに顔を赤くしながら男の人の話をするのって、初めて見たわ」

「そうかなあ」

「そうよ」


言われてみれば、確かにそうかもしれないな、と私は思った。


「新藤さんって、そんなに素敵な方なの？」

「う、うん。とても……」

「そう？ もちろん独身なのよね？」


来た！


「今はそうなんだけど……」


私は、新藤さんの事情を母に話そうと思う。母が何て言うかは分からないけれども。