ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
ところが母は、「そう……」としか言わず、難しい顔をしていた。
「お母さんは反対なの?」
思わずそう訊いたら、
「反対って事はないけどね……」
と、母にしては珍しく歯切れが悪い。
「"死に別れには嫁ぐべからず”だから?」
「あら。そんな諺、よく知ってたわね?」
「恭子から言われたから……」
「ああ、なるほどね……」
「お母さんもそう思うの?」
「そうね……。確かにそれもあるけど、それ以前の問題じゃないかしら」
「それ以前? それって、どういう事?」
「うん。私がそう思うだけかもしれないんだけど、新藤さんってどなたとも再婚する気はないんじゃないかなって……」
「えっ? そんな……」
「新藤さんが真面目な方なら、尚更その可能性が高いと思うのよね……」
私はガクッと肩を落とした。母が言った事が、もっともな事に思えたから。
新藤さんは間違いなく真面目な人だと思う。だから、奥様への罪の意識とかで、生涯独身で通すおつもりかもしれない。ううん。きっとそうだ。
「お母さんは反対なの?」
思わずそう訊いたら、
「反対って事はないけどね……」
と、母にしては珍しく歯切れが悪い。
「"死に別れには嫁ぐべからず”だから?」
「あら。そんな諺、よく知ってたわね?」
「恭子から言われたから……」
「ああ、なるほどね……」
「お母さんもそう思うの?」
「そうね……。確かにそれもあるけど、それ以前の問題じゃないかしら」
「それ以前? それって、どういう事?」
「うん。私がそう思うだけかもしれないんだけど、新藤さんってどなたとも再婚する気はないんじゃないかなって……」
「えっ? そんな……」
「新藤さんが真面目な方なら、尚更その可能性が高いと思うのよね……」
私はガクッと肩を落とした。母が言った事が、もっともな事に思えたから。
新藤さんは間違いなく真面目な人だと思う。だから、奥様への罪の意識とかで、生涯独身で通すおつもりかもしれない。ううん。きっとそうだ。