ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
と心配したけども、新藤さんは私のバッグについては触れなかった。その代わりに、


「夕飯はどうしようかなあ」


と呟いた。すると、


「カレーたべたい」


と、まみちゃんがすぐに反応した。


「またカレーかい?」

「うん、カレーたべたい。りなちゃん」

「え? なあに?」

「パパのカレー、おいちいよ?」

「そう? 美味しいんだ?」

「うん。いっちょにたべよ?」

「一緒に?」

「うん!」


まみちゃんから夕飯にお呼ばれしてしまったみたい。もちろん私的には望むところではあるのだけど、新藤さんはどうなのかしら。そう思って彼に視線を向けると、


「美味しくはないと思うけど、良かったら一緒にどうかな?」


と言ってもらい、


「はい、戴きます!」


私は間髪を入れずに即答していた。それがあまりにもあからさまだったのか、新藤さんにクスッと笑われてしまったけれども。


「夕御飯はいつも新藤さんが作ってらっしゃるんですか?」

「いや、いつもではないよ。むしろスーパーやコンビニで出来合いの物を買う事の方が多いかな。僕は料理が苦手でね。カレーとか、簡単な物しか作れないんだ」

「そうなんですか……」


や、やばい。私なんて、その簡単なカレーでさえ作った事ないかも。大急ぎでお料理の勉強をしなくっちゃ!

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