僕と君とのともだち記録
部屋にアラームの音が鳴り響く。
少年はまだ眠そうに目をこすりながら
音を止めようと携帯電話に手を伸ばした。
ふと、枕に付いたシミに気づいた。
なんだか夢をみていたような気もするが、
どんな夢だったかはもう忘れてしまった。
机に目をやると、開きっぱなしの日記帳
が見える。
作文力を上げるために、入試勉強として
始めたものだったが、
高校に入学した今でもなぜか続いていて、毎日の日課になってしまっていた。
日記帳を手に取り、パラパラと
めくってみる。
4月20日
今日の時間割は
科学
数学Ⅰ
音楽
英語表現
世界史
総合
総合
総合
でした。
授業に遅れないように気を付けたいです。
5月8日
今日は世界史でフランス革命を
勉強しました。
人名が難しいので頑張って覚えたいです。
5月15日
今日は数学の小テストがありました。
だんだん難しくなってきたので、
頑張りたいと思います。
最終ページを見終わったあと、思わず
ため息交じりの笑みがこぼれた。
その日やった事だけが書いてあるだけの
短い文章。
「こんなの日記っていえるのかなぁ....」
独り言を言っていると、
下から大きな声が聞こえた。
「キラ!いつまで寝てんの! ご飯よ!
早く降りてきなさい!」
「.........はぁい.....。」
日記を閉じて小さく返事をして、
キラと呼ばれたその少年は、足取り重く
階段を降りて行った。